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追憶日記

管理人のくだらない日常の云々・・・

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正月駄文④です。
完結です。

~イングラムのお年玉④~



クォヴレーが必死な様子で傷ついた親指を舐めている。
ポケットの中を探りながらも、
クォヴレーの子猫のようなその様子を目を細めて見守るイングラムであった。

「・・・ふ・・・ぅ・・結構・・強く噛んだんだな・・・止まらない。
 ・・・・痛いだろ??ズキズキするはずだ」
「多少ズキズキするが問題ない。
 身体の痛み以上に俺の心はいま幸せに満ち溢れている」
「・・・イングラム」

上目使いのクォヴレーにチラリと手作りの婚姻届をチラつかせる。
途端、顔を茹蛸のように染める初々しいクォヴレーは、
それでも指を舐めて治療することをやめなかった。

「口、吸血鬼のようだな」

笑いを含んだ声で自分の指を舐めるクォヴレーの唇を、
婚姻届を持った指でそっと撫で血を拭う。

「・・・イングラムが血を流しすぎなんだ・・止まらない」
「お前に舐めてもらうのは気持ちがいいから、身体が止血するのを拒んでいるのだろうか?」

甘い声色で気障な台詞を呟くイングラムに、肩眉を吊り上げ睨んだ。
すると今度は困ったように微笑んで額に唇を押し寄せた。

「冗談だ・・・、もういいぞ」
「ん、ふ・・・まだ・・止まってないぞ?」
「大分止まったから大丈夫だ。
 それにこれ以上舐めてもらうといやらしい気分になるからな」
「!!馬・・・っ」

くだらない冗談にはもう付き合ってられないと、舐めるのをやめ
クォヴレーが腰を上げたとき、イングラムは腕を強く掴んでそれを阻んだ。

「うわっ」

そしてそのまま自分の腕に抱き寄せ
クォヴレーの両手を胸の前で握り締めながら深い口付けを落とした。

「んっ・・・んん・・」

頬をピンク色に染め次第に目を閉じていくクォヴレーであったが、
左薬指に突如冷たい感触を感じ目を大きく見開いた。
見つめる青い瞳が細く細められていく・・・。
次第にその目は蓋を閉じ甘い甘いキスを嵐のように与えてくるのだった。

「あっ・・んん、んぅ・・・」

チュ、という音が断続的に部屋に響いていく。
甘い痺れが口から全身に回っていき、再びクォヴレーは目をウットリと閉じた。







コタツの机に背を預けイングラムの頬を両手で包み込む。
無言のまま5分ほど口付けを交わしている二人・・・・。
だがそれも終わりが近づいてきたのか、
一段と大きな唇を啄ばむ音が聞こえると、
二人の唇が透明な糸を引きながらやっと離れたのだった。

そしてクォヴレーの左手を自分の口元へ持ってくると、
その薬指に今度は何度も口付けをするのだった。

「イングラム・・・コレ・・・」

コタツの上に押し倒されているからか、
それとも左薬指に輝いているものに感激したのか、
クォヴレーの身体は燃えるように熱い状態になっていた。

「本当は・・・明日の朝渡すつもりだった」
「・・・・え?」
「夜、もう一度お前と繋がるつもりだった・・・」
「なっ」

クォヴレーの顔が真っ赤になる。
明け方、あんなに激しく交じり合っていたというのに、
夜も交わるつもりだったのか、と怒りと恥ずかしさで身体が更に熱くなった。

「いつものように啼かせて、喘がせて・・気絶させて、
 そっとお前の指につけて朝起きた時のお前の反応を楽しむつもりだったんだ」
「・・・・・・悪趣味だ!」

ツラツラと悪びれることなく告白しているイングラムに
ブゥと膨れるクォヴレー。
けれどイングラムは満面の笑みを浮かべ、
すまん、と小さく謝りながら話を続けていく。

「だがクォヴレーは思いもしていなかった『お年玉』をくれた。
 俺の心を一瞬で幸せにしてくれる『お年玉』を。
 だから俺も負けていられないと・・・・・今渡したんだ」
「・・・・・・」

イングラムの目は優しく微笑んでいるが真面目な顔であった。
からかっている様子は微塵も感じさせず、
ドクドクドクとクォヴレーは鼓動が速まっていく。
そしてあることを確かめずにはいられなくなっていく。

「・・・イングラム・・・一つ聞いてもいいか?」
「ああ・・・」

返ってくる答えが望んでいるものと違ったらどうしたらよいのか・・・?
クォヴレーには分からない。
だがクォヴレーには自身があった。
きっと望んでいる答えを返してくれるに違いないと。

「この指輪の意味を聞いてもいいか?」

高潮していた頬が少しだけ青ざめていく。
愛されていると分かっていてもどうしても不安になってしまう。

「(・・そうか・・だからイングラムはいつも聞いてきたんだ・・。
 『ずっと一緒にいてくれるのか?』・・・と)」

不安と期待で脈拍がどんどん速くなっていく。
そんな緊張が伝わっているのか、イングラムはクスっと笑うと・・・、

「婚約指輪・・・のつもりだった」

と、優しい声で答えてくれたのだった。

「・・・婚約・・?」
「婚約というか・・・ずっと一緒にいるという証の指輪というか・・、
 まぁ・・結婚指輪になってしまったようだが・・・・」

再びイングラムが手作りの婚姻届をピラピラさせる。
するとクォヴレーは満面の笑みを浮かべ左薬指についている指輪と、
婚姻届に唇をよせた。

「こんなに素晴らしいお年玉はきっと他にない・・。
 ありがとう、イングラム」
「それは俺の台詞だ・・・。クォヴレー、ありがとう」

微笑みあい、再び唇を重ねあう二人・・・。
二人の熱く長い時間が始まろうとしていた。













大きなベッドでグッタリしてしまっているクォヴレーを抱きしめながら、
イングラムは思い出したように言った。

「クォヴレー」
「んー?」

情熱的に愛されたせいか声がかれているクォヴレー。
気だるげにイングラムを振り返れば、
ニッコリ微笑んだ彼が左薬指をさした。

「????なんだ?」
「言い忘れたんだが・・・」

イングラムの目が急真剣なものに変わったので、
青い顔になりクォヴレーは左手をすばやく押さえる。

「か、返さないぞ!!コレはオレのだ!!」
「は?」

返せといわれると思ったのか必死に隠すクォヴレーに、
噴出してしまうイングラム。
そんなこと一言も言ってないのになんて可愛いのだろう、と
心の中でほくそえみながら、だ。

「はははっ!そんなこと言わないから安心しろ!
 むしろ返すと言われないかひやひやしている」
「そんなこと・・・言う筈がない・・・」
「なら安心だ。」
「オレも安心だ」

ホッと安心するクォヴレーを更に強く抱きしめ、
イングラムは指輪をもう一度指差した。

「その指輪の裏・・・、俺からお前へのもう一つのお年玉だ」
「・・・裏?」

首をかしげゆっくり指輪を外すクォヴレー。
そして指輪の内側に掘られている文字を発見したと同時に、
イングラムの逞しい首に腕をまわし抱きつくのだった。

「イングラム!」
「ん?」
「オレも・・お前に誓う!」
「そうか・・・ありがとう」

クォヴレーを抱きしめかえし、再び下に組み敷いていく。
もう無理、と小さく抵抗するクォヴレーを優しく溶かしながら、
再び一つになっていく甘い二人。







その夜も二人にとっては長い長い夜になったという。





指輪に刻まれた『Ageless love』の文字の如く・・・・。
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