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折りたたんどきます
イングラムのお年玉②
首をかしげ覗き込むように自分を見てくるイングラムに対して、
聞きなれない言葉に目をパチパチさせるクォヴレー。
何を確かめる出なくもう一度その言葉を口に出していた。
「お年・・・玉・・???」
「そうだ」
「・・・・イングラムが??」
「他に誰がいる?」
「・・・・・・・・・・お前」
「ああ」
「・・・・給料沢山もらっているだろ?
仮にも『少佐』という地位がついているのだし」
呆れたような声と顔で『仮にも』といわれ、
イングラムは大人気なく少しだけムッとなる。
「仮にも、は余計だ」
「すまない・・・イングラムがきちんとお勤めを全うしていることは知っている。
だがあまりにも突拍子のない言葉を聞いたから混乱しているんだ」
「・・・そんなに突拍子もないことか?」
「!」
眉を吊り上げたイングラムの顔が今まで以上に近づいてきた。
「(キスされる??!)」
とっさに目を瞑るクォヴレーであったが、
イングラムの唇が唇に触れてくることはなかった。
その代わりといっては何だが・・・、
「痛っ!!」
ガブッ、と鼻先を軽く噛まれまたまた唖然とイングラムを見てしまう。
噛まれた場所を指で擦りながら今度はクォヴレーが彼へと身を乗り出した。
彼の首に腕をまわしおでことおでこをくっつけて会話を始める。
「どうしたんだ??(なんか今日はやけに子供っぽいな)」
「どうしたんだ?、ではない。断っておくが俺はお金のお年玉が欲しいわけではない」
「え?・・・そうなのか???(だがお年玉ってお金だよな???)」
「当然だ。金などもらわなくとも自分の給料で十分生活できる!」
プイッとそっぽをむかれ、クォヴレーは益々混乱していく。
お金でないお年玉とは一体なんなのか?クォヴレーには分からない。
いや、クォヴレーでなくともイングラムのこれまでの説明だけでは誰しも分からないだろう。
けれどイングラムのことを全て知りたいクォヴレーは必死に頭を回転させ考えた。
「お金でないお年玉・・・・、モノか?」
「・・・・さぁな」
「・・・言葉か???」
「・・・・さぁな」
「・・・・???キス、とか???」
「・・・キスなどさっき沢山しただろ?」
「!うっ」
確かに初詣から帰った後、『姫始め』とか言われて、
散々致したばっかりであったことを思い出し思わず赤面してしまう。
赤くなりつつもキスではないのなら、と、
「なら言葉だな?」
「・・・・・・」
仕方ないな、という風にイングラムの額に唇を寄せてクォヴレーは囁いた。
「イングラム・・・好・・・・」
しかし最後まで言い終える前に、唇は彼の大きな手によって塞がれてしまう。
「ふぐぐぐ???」
「・・・そうではない・・・たしかに俺が欲しいお年玉は・・・言葉だが・・」
「ふごご?」
自分の口からイングラムの手を外す。
いつもなら外れない手も今は手加減されているのか簡単に外すことができた。
「ぷはっ・・・、やはり言葉か!好き、ではないのか??」
「・・・好き、はいつもいってもらっているだろ?」
「(アレの時、無理やりだけどな)そうだな・・・では・・・あ、・・あ、あ」
「・・・・・」
「・・・あい・・してる・・・か?」
視線を少しだけ外し、恥ずかしそうに言うクォヴレーだが、
イングラムは小さく首を横に振るのだった。
「違う、その台詞も言ってもらっている」
「(・・・挿いっているときに、かなり強引にな)そ、そうだよな。
・・・・じゃぁ・・・一体なんだ????」
「わからないか?」
「・・・すまない」
イングラムの声が小さくなる。
クォヴレーの声も小さくなった。
イングラムが何を望んでいるのか分からない。
分からないから、もどかしくてクォヴレーは段々と悲しい顔になっていく。
それに気がついたのか、イングラムは困ったような微笑を浮かべ、
そっと頬に口付けるのだった。
「そんな顔しないでくれ。俺はお前を困らせたかったわけではないんだ。
・・・・ただ、一度でいいから応えて欲しいと望んだだけだ」
「応えて??」
「誕生日にも、聖なる夜にも、お前はまだ一度として応えてくれていない。
応えなくとも分かってはいるが、やはりきちんと声に出して応えて欲しい。
・・・・俺はお年玉としてその応えを望んでみたんだ」
「・・・誕生日・・・聖なる夜・・・?」
「高望みはよくないな・・・、俺は今のままでも十分幸せなのだから」
クォヴレーの頬にもう一度口付け、唇に口付けようとしたその時、
急にイングラムは口をクォヴレーの両手によって塞がれてしまった。
「??????」
イングラムの胸板を押し、彼から離れると、
頬を高潮させ勢いよく立ち上がる。
「クォヴレー??」
「・・・そういうことか」
「・・・・・・?」
少し頬を染め何かを決めたように大きき頷くと、
「イングラム!」
「・・・・・?」
「30分だけ待っていてくれ!」
「・・・30分??」
なぜ?と理由を聞こうとした時にはすでにクォヴレーは部屋を出て行ってしまっていた。
残されたイングラムはクォヴレーを抱きしめたままの形の腕をしばらく保っていたという。
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